概要

大溝祭は、日吉神社の春の例大祭です。
5月3日が宵宮、4日が本祭で、華麗な五基の曳山〈いさみたからともえみなとりょうが出されて祭礼を彩ります。
湖西地方随一の曳山祭で、昭和58年(1983)には、滋賀県の無形民俗文化財に選択されています。


宵宮は、湯立神事、曳山の提灯の元火受けに始まります。元来は、この元火から点火した提灯を曳山にぶら下げていましたが、現在は電気提灯に変わっています。
夕方、五基の曳山が各町内の山蔵を出発し、18時頃、総門に集合します。その後、各曳山はその年に定められた順番に並んで町内を巡行します。

宵宮は、若衆がすべてを取り仕切る、若衆の祭りということができます。

この日ばかりは、家を出て外で働く若者たちも地元に戻り、お祭りを盛り上げます。
若者たちの熱気に、まちも活気づけられます。

各家々からは、お酒が奉納されます。そのお酒がまた来年のお祭りの資金になるしくみです。

日が暮れると、曳山の提灯の明かりが闇に浮かび、ぐっと雰囲気が増してきます。

何トンもある曳山を、前後の「テコ」をうまくあやつり方向転換させる「辻廻し」は大迫力です。

夜も更けて、大溝港に五基が勢揃いする時が一番の見どころ。提灯の明かりが湖に映り込む様子は幻想的な美しさです。
その後、22時頃に巡行は終了となります。


朝、曳山は各町内の山蔵を出発して総門(旧大溝陣屋正門)前に勢揃いし、笛・太鼓・鉦で囃立てて日吉神社の馬場へ定まった曳山順に移動します。

曳山が馬場に到着すると神輿が拝殿より担ぎ降ろされ、神霊が神輿に移されて、城下町への渡御が始まります。


渡御のはじめは「渡番わたしばん町」(=その年の巡行順が5番めの曳山を出す曳山組町)から選任された神輿総宰領指揮による勇壮な「馬場三回返し」の神輿振りから始まります。

神輿は勝野町の御旅所に巡行し、神事の後、各町内を巡行して本社へ還幸します。
神輿が馬場を出た後、花山(=その年の巡行順が1番めの曳山)より餅撒きがあります。

餅撒きの後、曳山は賑やかに囃立てて馬場を下ります。

宵宮での提灯の明かりに彩られた曳山とはまた異なり、豪華な見送り幕や胴幕で飾り付けられた本祭の曳山も賑やかで美しいものです。

曳山が花山町で曳き分かれて各町内へ帰り、祭りは終わります。